大学卒業後、コロナ禍で仕事がないことにかこつけて、ずっと温めていた北海道分水嶺縦断という長大な登山を実行、完遂した。前年の撤退を踏まえての再挑戦はNHK地上波で年末に全国放送され、その年一番冒険的な活動をした人物に送られる「植村直己冒険賞」受賞にまで至った。
63日間の登山中は、体力的にも精神的にも、9割は苦しい時間だ。ご褒美はせいぜい1割しかない。それでも心が折れなかったのは、誇張抜きで、野球部の練習の方が何倍もキツかったからだ(特に冬)。「あのときに比べれば大したことはない」と思える経験がある人間は、いざどうしようもなく苦しい局面に立たされたときに力を発揮できる。